線香の香り [アート]
目覚めた瞬間
えも言われぬ深い愛情に包まれている気がした
微かに線香の香りがする
そうか、今朝は父と母の魂が家の中に居るのだ
お盆の清明な空気の中で手を合わせると
線香煙の向こうで父母が笑っている
柔らかく、どこまでも優しい笑顔で
・
「父さん母さん、頑張るからね」
小さい頃の思い出
近くのお寺のお坊さんが教えてくれたこと〜盆踊り
お坊さんが子どもたちを集めてこんな話をしてくれた
ある日、千里眼が野原に寝そべって
何気なく地獄を覗いていたら
千里眼の実母が釜茹での刑にされそうになっていた
母は、恐怖の中であらん限りの恐ろしい声をあげていた
グツグツと煮えたつ大きな釜の中に
投げ入れられようとしていたのだ
千里眼は、大急ぎでお釈迦様の所にとんでいき
「どうぞ、私の母を助けてください」と懇願した
お釈迦様は
「千里眼、お前が普段から仏を敬うこともなく
遊び呆けていたから、こんな事態になったのだ」
「今から直ぐにご先祖を供養しなさい
旬のものを供えて、一心不乱に祈りなさい」と言われた
千里眼は、言われたとおり、心を込めて供養をした
そして、ふっと地獄を覗いて見ると
母親は大釜の中に投げ入れられずに
外におろされていた
その時の母親は
嬉しさのあまり何かを叫びながら
手や足を動かしていた
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それが、後に盆踊りになったのさ
・
・
お坊さんは、そういう話をした
・
盆踊りは、お盆に戻ってきたご先祖様の霊を慰める踊り
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