名前~親の思い 子の願い [アート]
渡部あい。
3月22日生。
未熟児。
早生まれで学校の出席番号は最後。
名字はアイウエオ順の最後。
未熟児だから体もきっと一番小さい。
「せめて名前だけでも一番の名前をつけてあげたい」
だから、ア行の『あ』と『い』。
これが、親の願い。
嬉しい。
次のページで、この短文の私の全文を見てください。
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「親の思い 子の願い。」
先日、「渡部あい」という初老の女性と話をする機会があった。
その人との会話の中で、自分の名前の由来を聞く場面があった。
「私の名前は、わたべあいです。」
「下の名前の漢字を教えてください。」
「あいは、ひらがなです。」
「あのね、私は3月24日生まれ、つまり早生まれなんです。それに、生まれた時は未熟児でした。」
「早生まれだから、学校の出席番号は最後。名字は、渡部でアイウエオ順の最後。それに、未熟児だから、体もきっと一番小さい。」
「そんなことを心配して、私の親は、せめて名前だけでも、一番の名前をつけてあげたいって考えたの。だから、あい。ア行の『あ』と『い』。アイウエオ順で一番の(あい)。」
そんな話をしてくれた。
いい話だと思った。子どもに対する親の素朴な思いに感銘を受けた。
私たち人間の身の周りには、さまざまな思いが込められた「もの」や「こと」がたくさんある。
地名であっても、村や町の名前であっても、道具や部品の名前であっても、小動物の名前であっても・・・だ。
その中でも人の名前は、最上級の親の思いが込められている。
このブログを読んでいる貴方の名前も、きっとご両親の特別な思いが込められているに違いない。
お子さんをお持ちの方は、強い願いをこめて自分の子どもの名前を付けられただろうと想像する。
親の思いや願いというのは、目に見えないけれど、成長していくいろんな場面で、子どもに愛を降り注ぐのだ。
ほんの短い会話のなかに、まだ見ぬ渡部さんのご両親の細やかな心を想像してしまった。
ちなみに、渡部あいさんのお子様の名前は、漢字だそうである。
あいさんが、小学校に入ってから、ことあるごとに、「名前は、漢字できちんと書くんだよ。」と言われ続けてきたそうである。
もちろん、先生方は、渡部あいさんに向けて言ったのではなく、目の前の子どもたち全部に向けて言ったんだろうけれど、「名前は、漢字できちんと書くんだよ。」いう指示を聞くのはつらかったんだろう。
「私の名前はひらがなだもん。漢字なんかないんだもん。」って思ってほほをふくらませていたあいさんの顔が浮かんでくる。
あいさんは、ずっと思っていたそうだ。
「自分の子どもの名前は、絶対に漢字にする」って。
形は違うけれど、あいさんのご両親の思いは、あいさんの心のなかにずっと住み続けてきたんだと思って、素直に感動してしまった。
元気をためて、深呼吸をして、歩いていこう・・・ね。
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